君を好きな理由
「掃除してると幸せっていいですね~。うちの旦那と気が合いそうな気がします」
カメラのフィルムを巻きながら、宇津木さんは一人で頷いている。
「うちはチビがいて、それどころじゃありませんけどねぇ」
「チビ?」
華子がキョトンとしていたら、遠くから走り寄ってくる幼子。
頭に葉っぱをたくさんつけて走り寄ってきて、私たちの目の前でこけて一回転。
……ピンクのヒラヒラドレスが、若干無惨な惨状になっている。
コトンと起き上がり、キョトンとした顔でキョロキョロして、それから宇津木さんを見上げると、とたんに顔をくしゃくしゃにして泣き出した。
「ママ~」
「ママはお仕事中なんだな~。そこに山さんいるよ」
くりっと小さな彼女が振り向いて、山本さんを見て満面の笑みを作る。
「え。山さんは今、お嫁さんで手一杯だよー?」
「こんなチビに何を抜かしてるんだお前は」
磯村さんが抱き上げて、チビちゃんはきゃっきゃっとはしゃぎはじめた。
「うちのチビ、人見知りしないので助かりますけど、彼氏さんが汚れちゃいますよ」
磯村さんに抱かれたまま、チビちゃんはまわりをニコニコとキョトキョト周りを見回している。
「…………」
……可愛い。
すっごい可愛い……!
もう、小さい子供って奇跡よね。
こんなぷくぷくで小さいのに、爪はちゃんとあるし睫毛も長いし。
どうしよう、触りたい。
触りたい……けど、キャラじゃない。
キャラじゃないけど。
なんて葛藤しているうちに、お父さんが来て連れていかれた。
ぷにぷに触りたかった……
「素直じゃないですねぇ」
横から聞こえた呟きに、キッと博哉を睨んだ。
「何のことよ」
「いえ。ちょっとした感想です」
「あ。そう」
「子供作りましょうか?」
「何を言ってんのよ。子供は授かり物……」
言いかけて、しれっと言われた言葉に一気に体温が上昇した。
「ば……っ! 馬鹿じゃないの? 何なの唐突に───……!」
「子供好きなのは解りました。意外と言いますか、嬉しい驚きと言いますか……」
「わ、悪い!?」
「悪くはないです。俺も実は好きですから」
博哉はニッコリ微笑んで、眉を吊り上げたままの私の鼻をキュッと摘まむ。
微笑んでいるけれど、決して人懐こい外見ではない博哉。
黙っていると、クールで絶対零度に見える博哉。
子供好きなんだ……
「……意外」
「目指すは何人家族でしょうね。頑張ります」
「頑張らなくていいから!」
気がつけば新婚夫婦は着替えに向かっていて、華子たちの生暖かい視線に見守られていた。
カメラのフィルムを巻きながら、宇津木さんは一人で頷いている。
「うちはチビがいて、それどころじゃありませんけどねぇ」
「チビ?」
華子がキョトンとしていたら、遠くから走り寄ってくる幼子。
頭に葉っぱをたくさんつけて走り寄ってきて、私たちの目の前でこけて一回転。
……ピンクのヒラヒラドレスが、若干無惨な惨状になっている。
コトンと起き上がり、キョトンとした顔でキョロキョロして、それから宇津木さんを見上げると、とたんに顔をくしゃくしゃにして泣き出した。
「ママ~」
「ママはお仕事中なんだな~。そこに山さんいるよ」
くりっと小さな彼女が振り向いて、山本さんを見て満面の笑みを作る。
「え。山さんは今、お嫁さんで手一杯だよー?」
「こんなチビに何を抜かしてるんだお前は」
磯村さんが抱き上げて、チビちゃんはきゃっきゃっとはしゃぎはじめた。
「うちのチビ、人見知りしないので助かりますけど、彼氏さんが汚れちゃいますよ」
磯村さんに抱かれたまま、チビちゃんはまわりをニコニコとキョトキョト周りを見回している。
「…………」
……可愛い。
すっごい可愛い……!
もう、小さい子供って奇跡よね。
こんなぷくぷくで小さいのに、爪はちゃんとあるし睫毛も長いし。
どうしよう、触りたい。
触りたい……けど、キャラじゃない。
キャラじゃないけど。
なんて葛藤しているうちに、お父さんが来て連れていかれた。
ぷにぷに触りたかった……
「素直じゃないですねぇ」
横から聞こえた呟きに、キッと博哉を睨んだ。
「何のことよ」
「いえ。ちょっとした感想です」
「あ。そう」
「子供作りましょうか?」
「何を言ってんのよ。子供は授かり物……」
言いかけて、しれっと言われた言葉に一気に体温が上昇した。
「ば……っ! 馬鹿じゃないの? 何なの唐突に───……!」
「子供好きなのは解りました。意外と言いますか、嬉しい驚きと言いますか……」
「わ、悪い!?」
「悪くはないです。俺も実は好きですから」
博哉はニッコリ微笑んで、眉を吊り上げたままの私の鼻をキュッと摘まむ。
微笑んでいるけれど、決して人懐こい外見ではない博哉。
黙っていると、クールで絶対零度に見える博哉。
子供好きなんだ……
「……意外」
「目指すは何人家族でしょうね。頑張ります」
「頑張らなくていいから!」
気がつけば新婚夫婦は着替えに向かっていて、華子たちの生暖かい視線に見守られていた。