君を好きな理由
「突然ねー」
「俺に話が来たのも今朝なので」
「今朝ぁ?」
どういう意味だろ。
なんとも言えないんだけど。
今日の博哉は朝っぱらから、脱水起こしてふらふらの秘書課のお姉さん連れてきたでしょ?
お昼は社長のランチミーティングに付いて行ったとかで別々だったでしょ?
午後は相談役顧問の定期検診に付いてきて、黙って立っていたでしょ?
今朝、何があったのかな。
「母が突然やって来て、嫁を見せろと……」
「嫁じゃない!」
「冗談です。まぁ……付き合っているお嬢さんを見せろと言ってきまして」
「……お嬢さんて年齢でもないんだけど」
「未婚の女性は皆お嬢さんですよ」
「あー……はいはい。未婚ですね。はいはい」
軽く流すと、博哉は困ったような顔をする。
「うちの母は、予想の斜め45度くらい上を素通りする行動力を持っていますから、ここで行っておかないと後が面倒だと思いまして」
「博哉にそんな事を言われるお母さんて、どんな人物よ……」
だいたい言ってる本人が、予想の斜め45度以上の行動するのに。
と言うか、斜め45度はどこから出てきたの?
「今度の週末ねぇ。どこの海に行くの? とりあえず日焼け止め買わないと無理」
「ああ、赤くなるんでしたか。とりあえず……親戚の海の家ですね」
「親戚の海の家……」
「ペンションを経営している親戚がいるんですよ。いるのは母だけですから大袈裟に考えなくても……」
大袈裟に……って言われても、貴方の母に会うのに大袈裟にならないわけはないと思うのですが。
「じゃ、今度はうちの母に会ってみる?」
「ご両親に挨拶しておきたいですが」
いや。それは待て。
やぶ蛇だった。
「相変わらずねぇ」
「なんとでも」
言いながら、博哉は店内を見回した。
今日連れてきたお店は、比較的さっぱり綺麗な外観をしている。
黒い木製のカウンターに白い壁。
要所要所に背の高い丸テーブル。
どこか懐かしい雰囲気なのは、天井から吊るされた硝子制の浮きのせいかもしれない。
「ところで、日本酒に詳しいという方は……今日は来てますか?」
「来てる来てる。でも忙しそうかな」
そう言っていたら、イキナリずしっと背中にのし掛かられた。
「俺に話が来たのも今朝なので」
「今朝ぁ?」
どういう意味だろ。
なんとも言えないんだけど。
今日の博哉は朝っぱらから、脱水起こしてふらふらの秘書課のお姉さん連れてきたでしょ?
お昼は社長のランチミーティングに付いて行ったとかで別々だったでしょ?
午後は相談役顧問の定期検診に付いてきて、黙って立っていたでしょ?
今朝、何があったのかな。
「母が突然やって来て、嫁を見せろと……」
「嫁じゃない!」
「冗談です。まぁ……付き合っているお嬢さんを見せろと言ってきまして」
「……お嬢さんて年齢でもないんだけど」
「未婚の女性は皆お嬢さんですよ」
「あー……はいはい。未婚ですね。はいはい」
軽く流すと、博哉は困ったような顔をする。
「うちの母は、予想の斜め45度くらい上を素通りする行動力を持っていますから、ここで行っておかないと後が面倒だと思いまして」
「博哉にそんな事を言われるお母さんて、どんな人物よ……」
だいたい言ってる本人が、予想の斜め45度以上の行動するのに。
と言うか、斜め45度はどこから出てきたの?
「今度の週末ねぇ。どこの海に行くの? とりあえず日焼け止め買わないと無理」
「ああ、赤くなるんでしたか。とりあえず……親戚の海の家ですね」
「親戚の海の家……」
「ペンションを経営している親戚がいるんですよ。いるのは母だけですから大袈裟に考えなくても……」
大袈裟に……って言われても、貴方の母に会うのに大袈裟にならないわけはないと思うのですが。
「じゃ、今度はうちの母に会ってみる?」
「ご両親に挨拶しておきたいですが」
いや。それは待て。
やぶ蛇だった。
「相変わらずねぇ」
「なんとでも」
言いながら、博哉は店内を見回した。
今日連れてきたお店は、比較的さっぱり綺麗な外観をしている。
黒い木製のカウンターに白い壁。
要所要所に背の高い丸テーブル。
どこか懐かしい雰囲気なのは、天井から吊るされた硝子制の浮きのせいかもしれない。
「ところで、日本酒に詳しいという方は……今日は来てますか?」
「来てる来てる。でも忙しそうかな」
そう言っていたら、イキナリずしっと背中にのし掛かられた。