君を好きな理由
「今日は比較的暇だよ。単にバイトが休んだだけだ」
「重い……」
思いきり後ろ足で蹴ったら、慌てて避けられた。
ぎょっとした顔が、おさるに似ている洋一さん。
「おま……っ! ヒールで蹴りは無いだろうが」
「ああ言う事をするから悪い。博哉、この人が……」
と、言いかけて、不機嫌な博哉に吹き出した。
「えー……と。従兄弟よ。そこは焼きもち焼くところじゃないから」
呟いて微笑むと、洋一さんはしげしげと博哉を眺めた。
「何だよハル。男連れてくんなら先に言っとけよな。なら、バイト増やしておいたのに」
そう言いながら、洋一さんは人懐こい笑みを浮かべて博哉の肩を叩く。
「よろしくな。初めてハルの男を見たけど、イケメン好きだとは思ってなかったよ。手ぇ空いたらまた来るな」
そう言って、カウンターに戻って行った。
「…………」
「…………」
「けたたましい人ですね」
そうね。
「6歳年上の従兄弟なの。悪い人じゃ無いんだけど……まぁ、あんな感じね。後でちゃんと紹介したいなぁ」
だけど、洋一さんともう一人のバイトさんでてんてこ舞いしてるし、ちょっと間が悪かったかなぁ。
「……彼は初めて、はるかの男を見たわけですか?」
「ん? そうなるかな。デートに従兄弟の店はチョイスしずらいじゃない? だから……」
と、振り返って呆れた。
とてつもなーく、嬉しそうにされている。
「喜ぶところなの?」
「はい」
「解らないなぁ」
言いながらもお酒を飲んでいたら、しばらくしてお店のエプロンを外した洋一さんが一升瓶片手に近づいてきた。
「バイト増やしたから、抜けてきた」
「いいの? 金曜なのに」
「暇だし。それにせっかくお前が彼氏連れて来てんのに、バタバタしてたら悪いだろ」
言いながら、博哉の手元と顔を見比べている。
「改めてどうも。柳沢洋一です」
「初めまして、葛西博哉です」
「あんた飲めるよな? さっきから見てたら日本酒ばかりパカパカ飲んでるけど」
ニヤリと笑ってコップを置いた。
「今日はハルの我が儘を肴に飲み明かすか」
「大丈夫よ。博哉は私以上に我が儘だから」
「ぅえ。お前以上の我が儘王子なわけ? 見えないけど」
「口調のおかげかしら」
ちらりと博哉を見て、
「別に意識して、この口調なわけではありません」
苦笑を返されて引き寄せられた。
その様子に洋一さんも笑う。
「……ああ。そーかそーか。余裕が無いんだな、あんた」
「はるかを相手に余裕なんてありません」
「よし。それじゃ、それを肴にして飲むか」
勘弁してよ。
それでも、意気投合したのは洋一さんの人柄か、博哉の順応性高さか……
閉店間際には、今まで飲んだことのあるお酒について語りながら、最後の一杯を笑いながら一気のみしていた。
「あー……今日は気分よく眠れそうだなー」
「はいはい。さっさと帰りなさいよ」
「大丈夫大丈夫。店に泊まるから」
「どこに眠るつもりよ」
見送ってくれた洋一さんに手を振り、上機嫌の博哉を見上げる。
「そっちは大丈夫?」
「ああ。はい。さすがに詳しいだけありますよね……と、言いますか、殆ど日本酒オタクでしたね」
「そうかもね。最初はだから趣味を仕事にしてるって、親族総出で馬鹿にされてたわね」
「重い……」
思いきり後ろ足で蹴ったら、慌てて避けられた。
ぎょっとした顔が、おさるに似ている洋一さん。
「おま……っ! ヒールで蹴りは無いだろうが」
「ああ言う事をするから悪い。博哉、この人が……」
と、言いかけて、不機嫌な博哉に吹き出した。
「えー……と。従兄弟よ。そこは焼きもち焼くところじゃないから」
呟いて微笑むと、洋一さんはしげしげと博哉を眺めた。
「何だよハル。男連れてくんなら先に言っとけよな。なら、バイト増やしておいたのに」
そう言いながら、洋一さんは人懐こい笑みを浮かべて博哉の肩を叩く。
「よろしくな。初めてハルの男を見たけど、イケメン好きだとは思ってなかったよ。手ぇ空いたらまた来るな」
そう言って、カウンターに戻って行った。
「…………」
「…………」
「けたたましい人ですね」
そうね。
「6歳年上の従兄弟なの。悪い人じゃ無いんだけど……まぁ、あんな感じね。後でちゃんと紹介したいなぁ」
だけど、洋一さんともう一人のバイトさんでてんてこ舞いしてるし、ちょっと間が悪かったかなぁ。
「……彼は初めて、はるかの男を見たわけですか?」
「ん? そうなるかな。デートに従兄弟の店はチョイスしずらいじゃない? だから……」
と、振り返って呆れた。
とてつもなーく、嬉しそうにされている。
「喜ぶところなの?」
「はい」
「解らないなぁ」
言いながらもお酒を飲んでいたら、しばらくしてお店のエプロンを外した洋一さんが一升瓶片手に近づいてきた。
「バイト増やしたから、抜けてきた」
「いいの? 金曜なのに」
「暇だし。それにせっかくお前が彼氏連れて来てんのに、バタバタしてたら悪いだろ」
言いながら、博哉の手元と顔を見比べている。
「改めてどうも。柳沢洋一です」
「初めまして、葛西博哉です」
「あんた飲めるよな? さっきから見てたら日本酒ばかりパカパカ飲んでるけど」
ニヤリと笑ってコップを置いた。
「今日はハルの我が儘を肴に飲み明かすか」
「大丈夫よ。博哉は私以上に我が儘だから」
「ぅえ。お前以上の我が儘王子なわけ? 見えないけど」
「口調のおかげかしら」
ちらりと博哉を見て、
「別に意識して、この口調なわけではありません」
苦笑を返されて引き寄せられた。
その様子に洋一さんも笑う。
「……ああ。そーかそーか。余裕が無いんだな、あんた」
「はるかを相手に余裕なんてありません」
「よし。それじゃ、それを肴にして飲むか」
勘弁してよ。
それでも、意気投合したのは洋一さんの人柄か、博哉の順応性高さか……
閉店間際には、今まで飲んだことのあるお酒について語りながら、最後の一杯を笑いながら一気のみしていた。
「あー……今日は気分よく眠れそうだなー」
「はいはい。さっさと帰りなさいよ」
「大丈夫大丈夫。店に泊まるから」
「どこに眠るつもりよ」
見送ってくれた洋一さんに手を振り、上機嫌の博哉を見上げる。
「そっちは大丈夫?」
「ああ。はい。さすがに詳しいだけありますよね……と、言いますか、殆ど日本酒オタクでしたね」
「そうかもね。最初はだから趣味を仕事にしてるって、親族総出で馬鹿にされてたわね」