君を好きな理由
それでも、膨らませてもらった浮き輪でプカプカ波に揺られながら、久しぶりに海水浴を楽しんだ。
「面白いものを見つけました」
潜水していた博哉が両手に何かもっている。
「え? なぁに?」
「アサリでしょうかね?」
まさにアサリを持っていたり。
「いや。本気であんた達はいくつよ」
君子さんに呆れられながら、砂のお城を二人で作って写真を撮ったり。
とりあえず真夏にしか出来ないことを、すっかり楽しんだ。
夜になって、日焼けで肌がヒリヒリしたけれど。
それはそれで、まぁいいか……
そう思えるくらいは、実は私は博哉に弱い。
つまりは、そういう事なんだろうな。
そうは思うけど、なんと言うか……
「夜になると涼しくなりましたね」
テラスの手すりに寄りかかり、一人で潮騒を聴きながら飲んでいたら、博哉が出てきて首を傾げる。
「花火でもしますか?」
「あはは。夏の風物詩よねー。買ってくれば良かった?」
「夏の風物詩は浴衣姿です」
「…………」
それは浴衣姿を見たいと言う催促でしょうか。
「博哉は好みがハッキリしてるよね」
肩を竦めてから隣に立ち、持っていたビールを渡してくれる。
「俺はいつもこんな感じなんです」
「浴衣かぁ。浴衣も持っていないわね」
クスッと小さく笑われて、心地よい沈黙が訪れる。
それからプシッと音がして、博哉もビールを飲みながらテラスの手すりに寄りかかった。
「ここはいい風が来ますね」
「うん。亜稀さんは?」
「あちらで君子さんのご主人に絡んでます」
「あら。大丈夫?」
「いつもの事ですから」
そうなんだ。亜稀さんはあまり飲んでいなかったと思うけど、弱いのかな。
「はるかは……素直じゃないですよね」
「…………」
「たまには素直になってくれても……と、思いますが」
うん。私もそう思うよ。
「嫌いじゃないわよ」
「……そんなはるかに惚れたんですから、仕方がないですよねー」
……博哉はいつも持久戦。
「面白いものを見つけました」
潜水していた博哉が両手に何かもっている。
「え? なぁに?」
「アサリでしょうかね?」
まさにアサリを持っていたり。
「いや。本気であんた達はいくつよ」
君子さんに呆れられながら、砂のお城を二人で作って写真を撮ったり。
とりあえず真夏にしか出来ないことを、すっかり楽しんだ。
夜になって、日焼けで肌がヒリヒリしたけれど。
それはそれで、まぁいいか……
そう思えるくらいは、実は私は博哉に弱い。
つまりは、そういう事なんだろうな。
そうは思うけど、なんと言うか……
「夜になると涼しくなりましたね」
テラスの手すりに寄りかかり、一人で潮騒を聴きながら飲んでいたら、博哉が出てきて首を傾げる。
「花火でもしますか?」
「あはは。夏の風物詩よねー。買ってくれば良かった?」
「夏の風物詩は浴衣姿です」
「…………」
それは浴衣姿を見たいと言う催促でしょうか。
「博哉は好みがハッキリしてるよね」
肩を竦めてから隣に立ち、持っていたビールを渡してくれる。
「俺はいつもこんな感じなんです」
「浴衣かぁ。浴衣も持っていないわね」
クスッと小さく笑われて、心地よい沈黙が訪れる。
それからプシッと音がして、博哉もビールを飲みながらテラスの手すりに寄りかかった。
「ここはいい風が来ますね」
「うん。亜稀さんは?」
「あちらで君子さんのご主人に絡んでます」
「あら。大丈夫?」
「いつもの事ですから」
そうなんだ。亜稀さんはあまり飲んでいなかったと思うけど、弱いのかな。
「はるかは……素直じゃないですよね」
「…………」
「たまには素直になってくれても……と、思いますが」
うん。私もそう思うよ。
「嫌いじゃないわよ」
「……そんなはるかに惚れたんですから、仕方がないですよねー」
……博哉はいつも持久戦。