君を好きな理由
華子は溜め息をついて首を振った。
「水瀬の悪い癖かしら。真剣に近づいてくる人ほど突き放してる」
「そりゃそうよ。真剣にお付き合い出来るわけでもないのに、付き合うのって相手に失礼じゃないの」
「あんなに猛烈に言い寄られてるのに、答えないのも失礼じゃない?」
「だから猛烈に断ってるんでしょ」
「単に言い争ってるだけにしか見えないんだけど」
眉を寄せた。
確かに。葛西さんと私は、言い争ってる様にしか見えないかも。
「つまり、葛西さんとはいい加減には付き合えないって事でしょう?」
「う、うん」
「……葛西さんの事を考えすぎよね。それって」
そうだけど……
「華子の癖に突っ込んでくるわね」
「まあね?」
「だいたい、私は彼女らしいことなんて出来ないもの。デートする時間があれば、勉強したいって思うし」
「それを言ってみれば?」
まぁ、そうかも知れないけど……
「通じるかしら?」
ぱくぱくパスタを食べながら、顔をしかめる。
葛西さんって、言っても聞き流すし、邪険にしても平気な顔だし。
何だか押され気味だし。
うん。そうかも……
押されてるな。
なんのかんの言いつつ飲みに行ったし、映画も見たし……
「ところで、デートは何したの?」
「え。映画見て、その後はファーストフードでお茶して、送ってもらった」
「いいわね、映画鑑賞とか。私はDVDでしか見れないしなぁ」
「そうね」
華子にとっては試練の間になりかねないな。
映画館で、隣の席の人の肘とぶつからないように座るには、かなり窮屈な空間だし。
「うちはもっぱら買い物デートが多いのよね」
「カラオケは? まだダメ?」
「ちゃんと除菌しているか疑問の残るマイクは握れないし、埃っぽい」
「じゃ、ボーリング」
「ボーリングの玉を持てない段階でアウトでしょう」
「じゃ、温泉」
「共同風呂なんて無理!」
「ちょっとした宿なら、客室露天風呂なんかもあるでしょ」
「客室露天風呂……」
思案顔の華子に微笑んだ。
この子とデートスポットについて語り合う日が来るとは、思ってもみなかったわ。
「水瀬は?」
「はあ?」
「来月のゴールデンウィークは?」
あー……えーと。
「区立図書館三昧!」
「きっとゴールデンウィーク中は休館よ」
「……そうかもね」
溜め息混じりに最後の一口を食べた。
「水瀬の悪い癖かしら。真剣に近づいてくる人ほど突き放してる」
「そりゃそうよ。真剣にお付き合い出来るわけでもないのに、付き合うのって相手に失礼じゃないの」
「あんなに猛烈に言い寄られてるのに、答えないのも失礼じゃない?」
「だから猛烈に断ってるんでしょ」
「単に言い争ってるだけにしか見えないんだけど」
眉を寄せた。
確かに。葛西さんと私は、言い争ってる様にしか見えないかも。
「つまり、葛西さんとはいい加減には付き合えないって事でしょう?」
「う、うん」
「……葛西さんの事を考えすぎよね。それって」
そうだけど……
「華子の癖に突っ込んでくるわね」
「まあね?」
「だいたい、私は彼女らしいことなんて出来ないもの。デートする時間があれば、勉強したいって思うし」
「それを言ってみれば?」
まぁ、そうかも知れないけど……
「通じるかしら?」
ぱくぱくパスタを食べながら、顔をしかめる。
葛西さんって、言っても聞き流すし、邪険にしても平気な顔だし。
何だか押され気味だし。
うん。そうかも……
押されてるな。
なんのかんの言いつつ飲みに行ったし、映画も見たし……
「ところで、デートは何したの?」
「え。映画見て、その後はファーストフードでお茶して、送ってもらった」
「いいわね、映画鑑賞とか。私はDVDでしか見れないしなぁ」
「そうね」
華子にとっては試練の間になりかねないな。
映画館で、隣の席の人の肘とぶつからないように座るには、かなり窮屈な空間だし。
「うちはもっぱら買い物デートが多いのよね」
「カラオケは? まだダメ?」
「ちゃんと除菌しているか疑問の残るマイクは握れないし、埃っぽい」
「じゃ、ボーリング」
「ボーリングの玉を持てない段階でアウトでしょう」
「じゃ、温泉」
「共同風呂なんて無理!」
「ちょっとした宿なら、客室露天風呂なんかもあるでしょ」
「客室露天風呂……」
思案顔の華子に微笑んだ。
この子とデートスポットについて語り合う日が来るとは、思ってもみなかったわ。
「水瀬は?」
「はあ?」
「来月のゴールデンウィークは?」
あー……えーと。
「区立図書館三昧!」
「きっとゴールデンウィーク中は休館よ」
「……そうかもね」
溜め息混じりに最後の一口を食べた。