君を好きな理由
思いきり溜め息をついて、ティーカップを口に運んだ。

「うまくいくとは思えないけど」

「もちろん努力は必要ですよ。流れに任せたところで“うまくいく”はずがないじゃないですか。うまくいかせるように努力するものです」

「……はぁ。さようでございますか」


なんだかなぁ……


「勉強の邪魔になるかもしれませんが、邪魔をするつもりもないですし、気長にいきましょう」


気長にかまえられてるのね。

気長に……


「少しは前向きに考えて下さるようになりましたか?」

「多少は。でも、私は貴方を好きな訳じゃないから」

「でしょうね」

うん。そうね。好きではないけれど、嫌いじゃないかもね。

そう……ね。

後先考えたって、お互いどうなるか、なんて解らない。

今までの経験からすると、うまくいく保障なんてものはないけれど、それはどんなことだってそう。

立ち止まっていても始まらないし、何かが終わるわけでもない。

これが最初でも、きっと最後でもないなら……

立ち止まっているのは馬鹿のすることだわ。

「とりあえず……じゃ、だめ?」

「……まぁ、許容範囲ですかね」

「じゃ、よろしく」

「はい。よろしくお願いします」

「ところで、私のどこが好きなわけ? 可愛くもないし、どちらかと言うときついってよく言われるけど」

「それは秘密です」


とても、澄ました顔で言われた。















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