君を好きな理由
そうね。
気づいたことはたくさんある。
普通なら当たり前すぎて、博哉に対してあまり見ていなかった事も。
「どんなことでしょう?」
「そうね。まわりにちやほやされようが、お婿さんナンバーワンに選ばれようが、博哉は博哉を貫くんだな……って思ったわ」
「……うちは、実力主義なので」
「うん。だから、基本は普通な男の子と変わりないのよね」
今まで、お金を使うのが愛情の証しにする人が多かった。
自分で稼いだものだったり、親からもらったものだったりするんだろうけど……
私は別に物が欲しいわけじゃない。
「貴方は、一番最初に“気持ち”を私にくれたのよね」
「……逆に申し上げますと、俺は今まで“お金目当て”の女性にしか言い寄られた事がありませんので」
「オプションがキラキラしいと大変ね?」
「そうですね。ですからたまに真面目に言い寄っても、気まぐれにしか思われない……ようでしたね?」
「うん。だから“とりあえず”付き合ったの」
たぶん、そう先ではない先に、別れがあるんだと思いながら付き合った。
だけど、先を教えてくれるなら。
私もちゃんと先を考えないといけないし。
「上手く行く保証なんてないわよ?」
「保証なんてどこにもないですよ」
パチンと音がして、まとめていた髪が落ちてくる。
外された髪留めは、ぽいっと放り出されてカシャンと床に落ちた。
まったく、片付けるつもりはないらしい。
博哉の笑顔を見ながら小さく笑って、持たされたコップをテーブルに置くと、コトンとぶつかる音がやけに響く。
指先に髪を絡ませながら、博哉は首を傾げた。
「いいですか?」
「そんなこと、女に聞くもんじゃないわ」
博哉の肩に両手をまわし、微笑むとキスを交わす。
啄むようなキスが、だんだん深いものになって、息苦しくなってくる。
「……博哉にキスされるの、好きよ」
「それは何より」
ニヤリと笑うと、博哉は私を抱き上げて歩きだす。
「あー……ええと、シャワー浴びない?」
「却下します」
「でもほら。焼き鳥屋さんの炭の臭いがするし」
「お互い様でしょう」
「でも……私はその他にも消毒液くさいとおも……」
「無理です」
無理?
ええと、どういう意味で無理?
「俺と一緒に、でよければシャワーに同意します」
そっちの意味で無理ね。
そう……そっか。
でも一緒にシャワーは、さすがにハードル高いかも。
気づいたことはたくさんある。
普通なら当たり前すぎて、博哉に対してあまり見ていなかった事も。
「どんなことでしょう?」
「そうね。まわりにちやほやされようが、お婿さんナンバーワンに選ばれようが、博哉は博哉を貫くんだな……って思ったわ」
「……うちは、実力主義なので」
「うん。だから、基本は普通な男の子と変わりないのよね」
今まで、お金を使うのが愛情の証しにする人が多かった。
自分で稼いだものだったり、親からもらったものだったりするんだろうけど……
私は別に物が欲しいわけじゃない。
「貴方は、一番最初に“気持ち”を私にくれたのよね」
「……逆に申し上げますと、俺は今まで“お金目当て”の女性にしか言い寄られた事がありませんので」
「オプションがキラキラしいと大変ね?」
「そうですね。ですからたまに真面目に言い寄っても、気まぐれにしか思われない……ようでしたね?」
「うん。だから“とりあえず”付き合ったの」
たぶん、そう先ではない先に、別れがあるんだと思いながら付き合った。
だけど、先を教えてくれるなら。
私もちゃんと先を考えないといけないし。
「上手く行く保証なんてないわよ?」
「保証なんてどこにもないですよ」
パチンと音がして、まとめていた髪が落ちてくる。
外された髪留めは、ぽいっと放り出されてカシャンと床に落ちた。
まったく、片付けるつもりはないらしい。
博哉の笑顔を見ながら小さく笑って、持たされたコップをテーブルに置くと、コトンとぶつかる音がやけに響く。
指先に髪を絡ませながら、博哉は首を傾げた。
「いいですか?」
「そんなこと、女に聞くもんじゃないわ」
博哉の肩に両手をまわし、微笑むとキスを交わす。
啄むようなキスが、だんだん深いものになって、息苦しくなってくる。
「……博哉にキスされるの、好きよ」
「それは何より」
ニヤリと笑うと、博哉は私を抱き上げて歩きだす。
「あー……ええと、シャワー浴びない?」
「却下します」
「でもほら。焼き鳥屋さんの炭の臭いがするし」
「お互い様でしょう」
「でも……私はその他にも消毒液くさいとおも……」
「無理です」
無理?
ええと、どういう意味で無理?
「俺と一緒に、でよければシャワーに同意します」
そっちの意味で無理ね。
そう……そっか。
でも一緒にシャワーは、さすがにハードル高いかも。