〔恋愛小説ミリしらが書く〕 司書と王子様
連れてこられたのは校舎裏。普段はあまり使われていないせいか、草でボーボーだ。




「はぁ………っ…はぁ…!」


「ごめん…大丈夫?………あ、上靴のままだったね…走り辛いよね…。」

何から何まで心配してくれる暁月さん。




さっきは困惑していたこともあって顔なんて見ていなかったけど、改めて見て思う。


……綺麗な顔立ち……黒縁のメガネもよく似合ってる。だけどあえて恰好いいとは言わない。認めちゃいけないと心の中で意地を張っている。


なにより童話を借りるなんて、変わった人に違いない。





目の前の黒髪メガネに手は掴まれたままだ、私が逃げ出すとでも思っているのかな…。




「…………栞、ありがとう……返しに来てくれたってことは……見たよね?」



嘘をつく理由も無いし、素直に頷く。




暁月さんが、いきなり顔を近づけて

息のかかりそうな距離


心臓が張り裂けそうな位に早まる鼓動。
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