たとえ、すべてが嘘だとしても。
いち
「うぇーい!皐月、罰ゲーム決定!」
男子の騒がしい声が教室から聞こえる。
きっと帰宅部の男子たちだろう。
てかそれよりも、『皐月』って……
心臓がありえないくらいドクドクと脈をうっている。
頬に熱が溜まっていくのがわかる。
(やば、私、どんだけ好きなの……)
この目の前にある扉を開けたら。
そうしたら皐月がいる。
忘れ物をとりたいけど、でもこのまま
会話を聞いてたいかもっ………。
どうしようか、と迷っていると中から再び会話がハッキリと聞こえてきた。
「じゃあ罰ゲームは雨宮 桜月に告白!」
────────……え?
今、雨宮 桜月 (アメミヤ サツキ)って。
それ、私の名前じゃん……。
「ま、告んのはいーけどその後どすんの?」
「クリプレとか誕生日とかにたっぷり貢いでもらえ!」
や、めて。私をなんで標的にするの…?