平安絵巻 続き




人の気配がした。




『誰です?』






何も聞こえない。








はっ!



『約束通りきましたよ。中宮…』



『なぜここに?宮中に戻らなくてもよろし いのですか?』



『会いたかった…』



『たった5日ですよ……』


『さぁ、御所へ戻ろう。』


『何を言われますか!!
 私は、勝手に里に帰ったのです!
 御所へ戻ったら何と言われるか…』



『とにかく、御所へ戻りましょう。』



『帝…!』



帝に強く手を引っ張られ、牛車に乗ってしまった。




牛車の中では、一切話がなかった。




無理やり連れ戻して、もうすぐ産まれる御子の話を延々に聞かなければならない。





ふぅっ!




うたた寝をしてしまった。



帝に見られたか…








何も話がなく、御所へ着いた。






そして、侍女に促され部屋にいく。






夜更けの御所を見たことがなかった。






こんな所だったのかと思う。





結局、帰ってきてしまった。





それも、寝間で……










< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop