嘘からはじまる、
「はぁ」
再び零れたため息。
すると、近くからクスッ、という微かな笑い声が聞こえ、私は思わず声がした方に視線を向けていた。
「……」
バチッと視線が合ったのは、風紀委員長の竹内だ。
風紀委員長らしく、真っ黒な髪に黒い縁のメガネ。
制服だって、無駄に着崩すことなく、お手本のごとくきっちりと着こなしている。
見た目は、本当に理想的な風紀委員長。
……見た目は、ね。
「会長、毎日あの子に合コン誘われてない?」
軽い口調でそう言ってきた竹内に、私は手元のプリントに視線を戻した。
こんなやつに構っている時間はない。
「うっさい。毎日じゃないし。毎週だし」
美夏の名誉のためにも、そこは一応訂正しておく。
毎日合コンしてる子、なんて思われるのはいくらなんでも可哀想だ。
「たいして変わんないじゃん」
「変わるでしょ。毎日じゃ竹内と同類になっちゃう」
竹内は、真面目そうな見た目に反して実はとても適当なヤツだ。
放課後に生徒会室に残って仕事をしていることなんてほとんどない。