秘密と記憶が出会うとき
須藤はじっと祥子の顔を見つめている。

とても冗談をいっているようではない。


「私は先輩の通っている学校の学長先生の家でお世話になっています。」


「学長の親戚だったのか。
それで、うちの学校に簡単に居たというわけなんだな。」


「でも、女の子は共学か女子の学校の方がいいよな。
とくに桧川みたいなきれいな娘はさ・・・。」


「あの、私は学長の佐伯雪貴さんと結婚することなるので、変な期待はしないでください。」


「なっ・・・学長と君が?
そ、そういうことだったのか。
学長って若いなって思ってたけど・・・そっか。

でもいいや、俺はおまえを好きでいる。
だからいつでも妹のとこに遊びにきてくれ。」


「須藤先輩・・・明央先輩が言ってたけど、いい人ですね。
まどかはいいお兄さんがいてうらやましい。」


「おまえは一人っ子なのか?」


「両親の連れ子どうしで再婚したから、義理の兄と姉はいるんだけど・・・。
義理の兄は事業の損失を私の体を売ることで知り合いから料金をまきあげるつもりだったの。」


「な、なんだそりゃ!なんてやつ!」


「それで助けてくれたのが雪貴さんなの。
私は小さい頃、雪貴さんと近所に住んでいてその頃から大好きでずっと追いかけていた人なの。」


「そういうことか。
学長に大切にしてもらってるんだな。
でも、それならどうして男子校に??
まぁ、考えがあったんだろう。

とにかく俺はおまえが男だと思ってたときから気に入ってた。
女の子だとわかってもっと好きになった。
それは事実だ。
だから遠慮とかするなよ。

また、いつでも遊びにきてくれよな。」


「はい。あの、私と会ったことは他の皆さんには・・・。」


「言わねぇよ。その方がいいんだろ。
俺も、おまえが女だったなんて他のやつらに教えたくねぇ。
俺の女神様でいいんだ。

あれ、待てよ・・・中澤はおまえが女だと知っていて・・・いっしょに?」


「はい。じつは・・・」


「くっそぉーーー!あいつ俺をたばかってたのか!
許せねぇ。」


「あ、暴力はだめです。
明央先輩はとても硬派で親切にしてくれました。
もちろん、いやらしいこともぜんぜんですから。」


「当たり前だ!、女と寮で関係する野郎なんて、俺がぶん殴ってやる!
しかしだなぁ。おまえが南地寮にきてたら、俺と同室だったのによ。
なんて、あはは・・・冗談だ・・・冗談。」


祥子は雪貴の家の前まで、須藤に送ってもらって帰宅した。
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