秘密と記憶が出会うとき
観念した雪貴はがっくりと肩をおとしていた。

「俺・・・自分は好かれているんだと思っていたし、彼女が若いから勉強の意味でも見守ることが必要だと思うようにしてたけど・・・最近はもしかしてすべて俺のひとりよがりだったのかなぁ・・・って。

現実は祥子はもう俺のことなんてめんどくさいだけの大人だと思ってるんじゃないかと考えてしまって。
不安になってきた。」


「昔から自信家のおまえがめずらしい考え方だな。」


「もう年なのかもな・・・。」


「おい、それ言うのか?同い年の俺にそれ言うの?」


「うん、だっておまえはもうお父さんじゃないか・・・。
ほんとにうらやましいよ。」


「じゃあ、おまえは祥子ちゃんはあきらめて、見合いでもするんだな。」


「そうだな・・・。」


「かわいそうな祥子ちゃん。
群がる女の子避けに名前を使われた上に、いざというときには会えないからもう待てないなんてなぁ。
きっと、もう男は信用しないだろうなぁ。
まだ、高校生なのにひどい男に捕まったもんだな。」


「なんだ、おまえは俺のじゃまをしておいて、あきらめるなみたいなことを言って・・・わけわかんないやつだな。」


「そうか?私は娘を持つお父さんだからな。
一言言わせてもらうとな・・・完全に会うことも許さないと言われたわけじゃないだろう?
保護者としてはルールの範囲で何とかしろって言いたいわけだな。

それを君は中学生みたいにルールは破るためにある~!とか叫びながら忍び込もうと今夜もやってきたわけだ。
彼女は明日も学校で忙しいみたいだから、睡眠をとってるときにだ!」


「あ・・・もう寝てるんだ。」


「明日来いよ。夕飯までに来ればいい。
堂々と玄関からやってくるんだ。いいな。」


「わかった。すまない・・・。俺、祥子のことになると何も見えなくなってしまって。
卓は大人だな。」


「ひとをオッサン扱いするな!俺は今、勤務中なんだからな。
社長が帰って来るまで、ここの管理の責任は私にあるんだからな。」


「水野だろ?責任者は・・・。」


「名前の上ではそうだが、実働責任者は私ですから。
深夜に夜這いで勝負するなら、私を倒していかなければ無理です。」


「わかったよ。出直してくる・・・祥子と夕飯の約束をしたい。
セッティングよろしく。」


「かしこまりました。では気をつけてお帰りください。」


「ああ、おやすみ。」


雪貴は玄関に走っていった3人といっしょに、自分の邸に帰っていった。
< 42 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop