マサユメ~GoodNightBaby~
俺の名前は薬師 リアム(やくし りあむ)。

記憶にはないんだけど、いつか戸籍で見た所によると日本人の父親とアメリカ人の母親とのハーフだそうだ。

記録によるとオレを産んですぐに両親は共に亡くなっていた。

だから、父親との思い出も母親との思い出も1つもない。

高校に入るまでは遠い親戚だと言う老夫婦に育てられていたのだけれど、二人はオレを愛してはいなかった。

それはまだ物心のつかない子どもが自覚してしまうレベルのもので、育児放棄に近い様な、生きるための最低限度の育児だったと思う。

そんなわけで、勿論オレも二人のことを育ててもらっている人、以外の思いは芽生えなかった。

高校に入るときにはもう、独り暮らしをすることは決まっていた。

だから、親からもらったものは何もないんだ。

強いていうならこの母親譲りの金髪と、色素の薄い青眼くらいかな。

父親からの授かり物は自覚できないな。

もし、両親を知る人に出会えたなら面影の1つも出てくるのかもしれないけど、どうやら親戚とも疎遠だった様だし。

この日本人離れしたルックスは良くも悪くも目立つ。

ていっても、英語が話せないからこのルックスはコンプレックスになることの方が高校生活では多いのだけれどね。

「さってと、学校行きますか」

そう呟いてオレは着替えを始めるのだった。




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