マサユメ~GoodNightBaby~
着替えを済ませたオレはガタのきた扉を蹴りあげるように開いて外にでた。
うちの高校は制服がブレザーで、他校と比べたら割りとセンスは良いと思う。
明るめの緑にチェックの模様の入った上下のブレザーに、白シャツと赤いネクタイが校則で決まっている。
中にはお洒落だとか言ってシャツを柄物にしたり、色つきのものにするやつもいる。
だけど、その度に教師に叱られる意味がオレには理解できなかった。
「うわ、鍵しまんねぇ日かよ」
築60年を越したこのアパートは所々でガタがきていた。
そのうちの1つがこの玄関扉だ。
2週間に一度くらいの頻度で鍵がかからない時がある。
たぶん鍵穴がボロくなってずれてしまっているのだろうけど、朝からイライラさせてくれる。
何度か扉を開いたり閉めたりしながら挑戦したが一向に鍵がかかる気配はなかった。
「…………おし。
盗られて困るものはねぇし、行くか」
施錠のできなかった鍵をポケットに突っ込んで、オレはそのまま学校へと向かうのだった。