マサユメ~GoodNightBaby~
朝の小テストはまあ前回の授業をしっかり聞いていれば特に問題なく解けるような問題だった。
良太は終了の合図と共に菩薩(ぼさつ)の様な慈愛に満ちた顔をしていたから恐らく補習が確定したんだろう。
ご愁傷様。
そこからはあっという間に昼休みになった。
この高校では昼は弁当か購買部で買って食べるようになっている。
真緒はいつも弁当、良太はたまに購買で買ってるけどだいたい弁当。
湊はそういえば弁当持ってきたのを見たことがないな。
なんて、1人暮らしで自炊もしていないオレが言えたことじゃあないんだけどさ。
「リム助って小食だよな」
良太は弁当のご飯をかきこみながらそう言ってきた。
うん、まず口の中の物飲み込んでから喋ろうか。
「ほんとそれ女子でも足りないよ?だから細いの?」
オレの手には購買部で買ったあんぱんと焼きそばパンが握られていた。
オレ的には丁度いいんだけど、これって小食なのか?
「湊もそんなに変わんないよな?」
「ふえ?うん、そうかな?」
カツサンドをほお張ってるところに聞いてしまったオレが悪いな。うん。
「いや、カツサンドと焼きそばパン、カレーパンとコロッケって確実にリアムの二倍は食べてるわよ」
「カレーパン食べる?」
そう言ってカレーパンを無造作に差し出す湊。
「いや、いい」
そういえば朝の幻覚はなんだったんだろう。
夏の暑さでやられちゃったのかな。
でも今でも湊の身体があんな風に千切れてしまわないか不安な自分がいる。
「あれ?さっきまであんなに晴れてたのに・・・」
「うそー。今日雨の予報なんて出てたっけ傘持って来てないよー。部活終わる頃に降ってたら最悪だな」
これから起こる惨劇を知らせるかの様に急速に街を覆い尽くしていく黒い雲が不気味でならなかった。