マサユメ~GoodNightBaby~

「湊なんで出ないんだよ。くそっ」

朝の7時。

昨日からのどしゃ降りの雨はまだ続いていた。

冷静になろう。

「悪夢だ」

そうだよ。

あんなこと現実に起きるわけがないじゃないか。

それにオレは湊の家も知らない。

なにより、湊を殺す理由なんてオレには何もないじゃないか。

「ははっ。

あー、ビビった」

携帯が繋がらないのはまだ眠っているからだ。

なんにせよ学校に行けば分かることだ。

湊に会ったら「首しめられるから気を付けろよ」って冗談で言ってやろう。

湊のことだから本当に怖がって、「やめてよリっくん」なんて笑うのだろう。

そうだよ。

そうに決まっている。

「汗だくで気持ち悪い。シャワー浴びて用意するかな」


不安も不愉快な感触も全てを流そうと無意識に思ったのもある。

普段は勿体ないから朝にシャワーを浴びたりしないのだけれど、オレは汗を流すことにした。


それと時を同じくして湊の家に救急車とパトカーが到着した。

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