マサユメ~GoodNightBaby~
教室に入ると良太と真緒が駆け寄ってきた。
「リアム君大丈夫なの!?」
「リム助、もう平気なのか?」
教室の雰囲気は沈んでいた。
同級生、それも昨日まで同じクラスで授業を受けていた友だちの突然の訃報を受け止められないのだろう。
「オレ、昨日最後まで湊と一緒にいて……あいついつもみたいに笑ってたし……好きなヤツもいるんだって……」
そう言って真緒を見てしまったけど、真緒は気づかない。
「おい、リム助。まさか、湊の気持ちに気づいてやれなかったとか責任感じてんじゃねぇだろうな?」
良太はオレの頭をがっと掴んで真剣な表情でそう言った。
気づいてやれなかったとかじゃないんだよ。
オレが殺したかもしれないんだよ。
「湊が死んだのはお前のせいじゃない。誰のせいでも無いんだと思う。
もし、誰かに責任があるのだとしたら、それこそ気づいてやれなかったオレ達皆の責任だよ」
真っ直ぐな目で良太はオレを見ていた。
もし、オレが湊を殺したのだと知ったらこいつはどんな顔をするんだろう。
そんなオレに何て言うんだろう?
「なぁ、良太。実はオレ……」
目をつぶる度に湊の死に際がフラッシュバックしてくる。
同時に手には感触がよみがえる。
嫌だよ。
こんな訳のわからない感覚。
「どうした?」
「オレが湊を……」
そう言いかけた時にチャイムが鳴った。
「おう、席つけー。
日直、号令」
チャイムと同時に入った来た数学の金沢先生がそう言い放って教壇に立った。
「リム助、話しはまた後でな」
良太はオレの肩を最後にポンと叩いて席についた。
オレも席に着く。
その日の授業の内容は1つも頭に入らなくて、ぽかりと空いてしまった隣の席を見つめているだけで涙が溢れそうになったんだ。