マサユメ~GoodNightBaby~
そうこう考えている内に空腹に耐えかねて、オレは少し前に買っておいたチルド食品のチャーハンをレンジで温めて食べた。
そして、湯船につかる気にはならなかったから汗を流すだけにしてシャワーを浴びた。再びベッドに戻った時にはもう九時を少し回っていた。
「疲れたな。眠い……」
子どもじゃないんだから、こんな早く寝るなんてそうそうないんだけど今日はもう眠ろう。あまりにショックなことが起きすぎた。悲しみと疲労が眠気をより強くする。瞼が落ちそうになってきたから、朝の目覚まし設定をしようと携帯に手を伸ばす。すると、メールの受信を伝えるランプが点灯していた。
「誰だ?こんなときに……」
2つ折りの携帯をゆっくりと開くと、メールが2件入っていた。1つはオレの様子を心配した真緒からで、もう1つの受信履歴を見てオレは飛び起きるように身体を起こした。
「なんで?湊からメールが来てるんだよ……?」
件名はない。開かなければ内容は分からない。いったいなんで?湊はもう居ないのに、日付指定のメール?それとも家族の誰かが湊の携帯から連絡先にある人にメッセージを送ってきたとか?
「そうだよ。きっと湊の家族からの一斉送信に違いない」
オレはゆっくりと大きく息を吐き、そのメールを開いた。
「……白紙のメール?いや」
件名も本文にも何も書かれていないメール。けれど、そのメールには添付ファイルが1つ残っていた。動画や画像のアイコンじゃないな音声ファイル?
覗いてはいけないものを見るような恐怖を感じて、夏なのに身震いがした。オレは添付されていたその音声ファイルを開いた。
『…………』
録音ミス?何も聞こえない。音声ファイルの長さは1分ちょうど。オレは再生音を最大にして耳を済ました。すると、雨粒が天井を叩く音が微かに聞こえる様な気がした。
『…………』
半分再生しても未だに雨粒の様な音が遠くに聞こえるだけ。このまま何もなかったらいったいこのメールはなんの為のものだったのか分からない。再生し始めてから35秒が経った時だった。
「----はっ!聞こえる」
オレは雨粒の音とは違う、何か布が擦れる様な音が近づいてくる音を必死で拾おうとしていた。微かにしか聞こえないのだけれど、確かにその音は近づいてきている。
「……音が止まった?いや」
『……んっ。ううっ。
はっ、あっ、、、げぇっ』
「湊!?確かに湊の声だ!」
携帯が再生しているのは確かに湊の声そのものだった。すごく苦しそうな、辛そうな声をしている。
『……あっ、止め。
リッ……な、んで?いっ、あっ』
あと数秒でファイルが終わる。その時、オレははっきりとその声を思い出した。これってまさか。
「これってオレが湊を殺した時の音声?!」
『ブチッ。。。ビチャ、ピチャ。
ブチブチブチ……バキィ、ゴトン、、、ゴロゴロ、ゴッ』
首を引きちぎり、両腕を両足を引き裂いて投げ飛ばした。その一部始終が再生されていた。オレは恐怖から携帯を投げ飛ばした。そして最後に残されたのは、不快な音でも悲痛な叫びでもなく、優しい女性の声だった。
『GoodNightBaby.(おやすみなさい、ぼうや)』
ファイルがすべて再生され、閉じられた。せっかくシャワーを浴びたというのに、またオレは冷や汗で全身が濡れていた。ガタガタと震える身体をなんとか動かして、オレはゆっくりと携帯を拾い上げた。
そして、湯船につかる気にはならなかったから汗を流すだけにしてシャワーを浴びた。再びベッドに戻った時にはもう九時を少し回っていた。
「疲れたな。眠い……」
子どもじゃないんだから、こんな早く寝るなんてそうそうないんだけど今日はもう眠ろう。あまりにショックなことが起きすぎた。悲しみと疲労が眠気をより強くする。瞼が落ちそうになってきたから、朝の目覚まし設定をしようと携帯に手を伸ばす。すると、メールの受信を伝えるランプが点灯していた。
「誰だ?こんなときに……」
2つ折りの携帯をゆっくりと開くと、メールが2件入っていた。1つはオレの様子を心配した真緒からで、もう1つの受信履歴を見てオレは飛び起きるように身体を起こした。
「なんで?湊からメールが来てるんだよ……?」
件名はない。開かなければ内容は分からない。いったいなんで?湊はもう居ないのに、日付指定のメール?それとも家族の誰かが湊の携帯から連絡先にある人にメッセージを送ってきたとか?
「そうだよ。きっと湊の家族からの一斉送信に違いない」
オレはゆっくりと大きく息を吐き、そのメールを開いた。
「……白紙のメール?いや」
件名も本文にも何も書かれていないメール。けれど、そのメールには添付ファイルが1つ残っていた。動画や画像のアイコンじゃないな音声ファイル?
覗いてはいけないものを見るような恐怖を感じて、夏なのに身震いがした。オレは添付されていたその音声ファイルを開いた。
『…………』
録音ミス?何も聞こえない。音声ファイルの長さは1分ちょうど。オレは再生音を最大にして耳を済ました。すると、雨粒が天井を叩く音が微かに聞こえる様な気がした。
『…………』
半分再生しても未だに雨粒の様な音が遠くに聞こえるだけ。このまま何もなかったらいったいこのメールはなんの為のものだったのか分からない。再生し始めてから35秒が経った時だった。
「----はっ!聞こえる」
オレは雨粒の音とは違う、何か布が擦れる様な音が近づいてくる音を必死で拾おうとしていた。微かにしか聞こえないのだけれど、確かにその音は近づいてきている。
「……音が止まった?いや」
『……んっ。ううっ。
はっ、あっ、、、げぇっ』
「湊!?確かに湊の声だ!」
携帯が再生しているのは確かに湊の声そのものだった。すごく苦しそうな、辛そうな声をしている。
『……あっ、止め。
リッ……な、んで?いっ、あっ』
あと数秒でファイルが終わる。その時、オレははっきりとその声を思い出した。これってまさか。
「これってオレが湊を殺した時の音声?!」
『ブチッ。。。ビチャ、ピチャ。
ブチブチブチ……バキィ、ゴトン、、、ゴロゴロ、ゴッ』
首を引きちぎり、両腕を両足を引き裂いて投げ飛ばした。その一部始終が再生されていた。オレは恐怖から携帯を投げ飛ばした。そして最後に残されたのは、不快な音でも悲痛な叫びでもなく、優しい女性の声だった。
『GoodNightBaby.(おやすみなさい、ぼうや)』
ファイルがすべて再生され、閉じられた。せっかくシャワーを浴びたというのに、またオレは冷や汗で全身が濡れていた。ガタガタと震える身体をなんとか動かして、オレはゆっくりと携帯を拾い上げた。