マサユメ~GoodNightBaby~
そしてオレはいつの間にか眠りについていた。
また、あの歌声が聞こえている。だけど、いつもよりも遠くにその人がいる気がした。オレは夢の中でその声の聞こえる方向へと進んでいく。
また、あの地面と並行に動いていく気色の悪い感覚だ。歌声が消えないように急ぐと、景色だけが早く流れていく。そして、ふとどこかの部屋へとたどり着くのだった。
「テディベア?それに、なんかピンクとか花柄とか可愛い感じの物が多いな」
その部屋はオレのアパートの部屋より少し大きいくらいの部屋で、家具は多くないがテーブルの上やベッドの上にはたくさんのぬいぐるみが置いてあった。今、流行ってるゆる可愛いキャラクターのものが多いな。
「ん?あの傘どこかで見たことがあるような……」
机の上、カバンの横に置いてあったカバーのかけられた折り畳み傘。可愛らしい柄のそれをオレはどこかで確かに見たことがあった。けれど、こんな部屋は知らない。
「ん?これ、オレの写真?」
机の前の部分には何枚かの写真が飾られていて、その中の1枚はオレが去年の体育祭でリレーに参加した時のものだった。オレは1枚も購入しなかったのだけれど、体育祭が終わった後に写真が掲示されて購入できるようになっていたな。その中の写真の1枚だったような気がする。
「あれ?歌声が……」
いつの間にかあの歌声は聞こえなくなっていた。そして、今度は無意識に、というか何かに無理やり首を横に回されたかのように視線が横に動いた。その先にはベッドがあり、部屋にたくさんあったキャラクターのカバーがかけてある可愛い布団が目に入った。
オレは背筋が凍りつく。まただ。またオレの意志とは関係ない所で視界の端から自分の両手が出てきた。手はどんどんそのベッドで寝息を立てる人の元へと伸びていき、横向けに眠っていたその人の首に手をかけた。その時にはもうオレは声を出せなくなっていた。
やめろ!やめろよ!なんでまたこんなこと。
湊よりも細い首にオレの手が回っていく。長い髪も一緒に巻き込んで、その手に力が入り始めた。気持ち悪いほどにリアルな感触だけをオレに伝えながら、気味が悪い程にオレの意思とは反対に力が強くなっていく。
「いやっ……だ、あっ。
----えっ!?」
ベッドの上でオレが首を絞めていたのは女の子だった。苦しさで目を覚まし、そして目の前のモノを見て驚愕したかのように目を見開いた。
この子は確か、一昨日に湊を待っている時に話しかけてきた同じクラスの、確か……榎本さん?なんで、オレ榎本さんの部屋にいるんだよ。
なんでオレ、ろくに話したこともない榎本さんのことを殺そうとしているんだよ?
「止めて……おね、がっ……」
榎本さんの目に涙が溢れ出した。苦しさに目を瞑ると大粒の涙が真横に落ちた。それでもオレの両手はどんどん力を込めていき、皮膚が破れる音がこだました。
涙は少しずつ赤く染っていき、榎本さんは白目を剥きながら真っ赤な涙をダラダラと零していく。バキッと首の太い骨が折れる音がして、首は転がり落ちてテーブルの下に入ってしまった。
湊の時と同じように、左腕を引きちぎり、関節でバラバラにして愛しいそれらを投げ捨てる。捨てられた左手首がカバンで跳ねて、机の前に飾られたオレの写真が鮮血で染まった。
どんどんどんどん慈しみながら、愛でながらオレは榎本さんの身体をバラバラに引き裂いては投げ捨て、可愛らしいその部屋は一変して真っ赤な血に染まるおぞましい部屋へと変貌した。布団カバーのゆる可愛いキャラクターも赤く染まっていた。
そして----
『GoodNightBaby.』
優しい声が頭の中に響いて、オレはハッと悪夢から覚めるのであった。
また、あの歌声が聞こえている。だけど、いつもよりも遠くにその人がいる気がした。オレは夢の中でその声の聞こえる方向へと進んでいく。
また、あの地面と並行に動いていく気色の悪い感覚だ。歌声が消えないように急ぐと、景色だけが早く流れていく。そして、ふとどこかの部屋へとたどり着くのだった。
「テディベア?それに、なんかピンクとか花柄とか可愛い感じの物が多いな」
その部屋はオレのアパートの部屋より少し大きいくらいの部屋で、家具は多くないがテーブルの上やベッドの上にはたくさんのぬいぐるみが置いてあった。今、流行ってるゆる可愛いキャラクターのものが多いな。
「ん?あの傘どこかで見たことがあるような……」
机の上、カバンの横に置いてあったカバーのかけられた折り畳み傘。可愛らしい柄のそれをオレはどこかで確かに見たことがあった。けれど、こんな部屋は知らない。
「ん?これ、オレの写真?」
机の前の部分には何枚かの写真が飾られていて、その中の1枚はオレが去年の体育祭でリレーに参加した時のものだった。オレは1枚も購入しなかったのだけれど、体育祭が終わった後に写真が掲示されて購入できるようになっていたな。その中の写真の1枚だったような気がする。
「あれ?歌声が……」
いつの間にかあの歌声は聞こえなくなっていた。そして、今度は無意識に、というか何かに無理やり首を横に回されたかのように視線が横に動いた。その先にはベッドがあり、部屋にたくさんあったキャラクターのカバーがかけてある可愛い布団が目に入った。
オレは背筋が凍りつく。まただ。またオレの意志とは関係ない所で視界の端から自分の両手が出てきた。手はどんどんそのベッドで寝息を立てる人の元へと伸びていき、横向けに眠っていたその人の首に手をかけた。その時にはもうオレは声を出せなくなっていた。
やめろ!やめろよ!なんでまたこんなこと。
湊よりも細い首にオレの手が回っていく。長い髪も一緒に巻き込んで、その手に力が入り始めた。気持ち悪いほどにリアルな感触だけをオレに伝えながら、気味が悪い程にオレの意思とは反対に力が強くなっていく。
「いやっ……だ、あっ。
----えっ!?」
ベッドの上でオレが首を絞めていたのは女の子だった。苦しさで目を覚まし、そして目の前のモノを見て驚愕したかのように目を見開いた。
この子は確か、一昨日に湊を待っている時に話しかけてきた同じクラスの、確か……榎本さん?なんで、オレ榎本さんの部屋にいるんだよ。
なんでオレ、ろくに話したこともない榎本さんのことを殺そうとしているんだよ?
「止めて……おね、がっ……」
榎本さんの目に涙が溢れ出した。苦しさに目を瞑ると大粒の涙が真横に落ちた。それでもオレの両手はどんどん力を込めていき、皮膚が破れる音がこだました。
涙は少しずつ赤く染っていき、榎本さんは白目を剥きながら真っ赤な涙をダラダラと零していく。バキッと首の太い骨が折れる音がして、首は転がり落ちてテーブルの下に入ってしまった。
湊の時と同じように、左腕を引きちぎり、関節でバラバラにして愛しいそれらを投げ捨てる。捨てられた左手首がカバンで跳ねて、机の前に飾られたオレの写真が鮮血で染まった。
どんどんどんどん慈しみながら、愛でながらオレは榎本さんの身体をバラバラに引き裂いては投げ捨て、可愛らしいその部屋は一変して真っ赤な血に染まるおぞましい部屋へと変貌した。布団カバーのゆる可愛いキャラクターも赤く染まっていた。
そして----
『GoodNightBaby.』
優しい声が頭の中に響いて、オレはハッと悪夢から覚めるのであった。