マサユメ~GoodNightBaby~
少年は苦悩する
湊の自殺に続いて榎本さんの自殺が公表された。その日の内に校長と教頭そして二人の担任であった若林先生が保護者会を開いたとのこと。そして、今週の金曜日にはマスコミの前で記者会見を開くことに決定したそうだ。
保護者の居ないオレはそのことを真緒と良太に聞くことになった。
「おはようございまーす」
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
榎本さんの安否を三人で確認しに行って、オレが欠席し良太が遅刻をした次の日から校門の前には先生が立つようになっていた。その表情は柔らかくはなかったが、生徒達が少しでも安心して過ごせるように配慮しているのが分かる。
「お、仲良し三人組おはよう。薬師君はどう、調子戻った?
・・・・・・って聞くまでもないか」 そう言って委員長は少し困ったような顔で笑った。オレも眉をひそめて笑った。
「・・・・・・あっ」
教室を見渡すと椅子に座るクラスメイト達のなかにポツンと白い花が置かれていることに気が付いた。前列の一つの席と、オレの隣の席。そう港と榎本さんの席には白い花が飾られていた。
二人が死んでしまったのだという事実をありありと、その綺麗な花弁が残酷にオレに突きつけているように感じた。オレは無意識に胸を手で押さえていて、ズキズキと痛むその原因をはっきりとさせられない自分の不甲斐なさに怒りがこみあげた。
「さ、座ろうぜリム助」
「お昼は屋上で食べようよ、ね?」
そう言って良太と真緒はそれぞれの席へと向かっていった。少し遅れてオレも自分の席へと向かう。
「リッ君おはよう!何その顔?」 そう言われたような気がして隣の席を見ると、さっきの花が開け放たれた窓から差すそよ風で揺れているだけだった。鞄を机の横にかけて、椅子に座る。
微かに香る花の匂いに気付かないように、そっと窓へと視線を逃がしていた。ゆっくりと大きな雲が動いている。
保護者の居ないオレはそのことを真緒と良太に聞くことになった。
「おはようございまーす」
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
榎本さんの安否を三人で確認しに行って、オレが欠席し良太が遅刻をした次の日から校門の前には先生が立つようになっていた。その表情は柔らかくはなかったが、生徒達が少しでも安心して過ごせるように配慮しているのが分かる。
「お、仲良し三人組おはよう。薬師君はどう、調子戻った?
・・・・・・って聞くまでもないか」 そう言って委員長は少し困ったような顔で笑った。オレも眉をひそめて笑った。
「・・・・・・あっ」
教室を見渡すと椅子に座るクラスメイト達のなかにポツンと白い花が置かれていることに気が付いた。前列の一つの席と、オレの隣の席。そう港と榎本さんの席には白い花が飾られていた。
二人が死んでしまったのだという事実をありありと、その綺麗な花弁が残酷にオレに突きつけているように感じた。オレは無意識に胸を手で押さえていて、ズキズキと痛むその原因をはっきりとさせられない自分の不甲斐なさに怒りがこみあげた。
「さ、座ろうぜリム助」
「お昼は屋上で食べようよ、ね?」
そう言って良太と真緒はそれぞれの席へと向かっていった。少し遅れてオレも自分の席へと向かう。
「リッ君おはよう!何その顔?」 そう言われたような気がして隣の席を見ると、さっきの花が開け放たれた窓から差すそよ風で揺れているだけだった。鞄を机の横にかけて、椅子に座る。
微かに香る花の匂いに気付かないように、そっと窓へと視線を逃がしていた。ゆっくりと大きな雲が動いている。