マサユメ~GoodNightBaby~
その日のホームルームは学校からのアンケートに回答することになった。内容もその理由も一目瞭然で「クラス内でのイジメ」に関するアンケートだった。
このクラスは結構個性豊かな人間が多いがイジメのようなものは無かったとオレは思う。とは言え、オレはそこまで広くかかわる方ではないから些細なことを見逃していたかもしれないが。
ただ、このタイミングでのこの内容のアンケートということは理由は明白であって、要は学校側としては「自殺した湊や榎本さんがイジメられていた」という事実がないことを確認する為のものだと皆も分かっていただろう。
イジメなんか無かった。何よりあの二人は自殺なんかじゃない。それをオレだけが知っている。確かに知っているのに、それを証明する方法は無く、ただイジメはなかったのだと回答する他に無かったんだ。
昼休みになりオレは良太と真緒と屋上にいた。二人とも相変わらずの豪快な食べっぷり。オレはあまり食欲がわかず、購買で買ったアンパンを半分食べるのにも苦労をしていた。
「なあ、二人から見てイジメってあったと思うか?」 そうオレが聞くと二人は箸を止めて答えた。
「うんそもそもうちのクラスってかなり平和だしイジメなんてないと思うよ。しかも、今朝のって要は本田くんとあずきちゃんの事を聞いてるんだよね?
流石に私もクラスの隅々まで知ってるわけじゃないから、あんんまり関りのない子とかのことは分からないんだけど、あの二人に関しては絶対に無かったと思う」
「だよなあ。なんだったら隣のクラスの方がその辺殺伐としてると思う。オレも榎本さんとは仲良かったわけでもないから分からないけど、湊に限ってそれはないよ。
なんなら勝とかも派手にやってるけど、アイツはあれで芯が通ってるからイジメとか姑息なことはしないしな。まあ喧嘩で相手の骨折ってりゃ悪いに決まってるんだけど・・・・・・」
そうだよな。うん、そうだ。やあぱりこのクラスでのイジメはないのだと思うし、何より死んだ二人に関しては仲の良かったオレらや真緒が言うのだから本当に無かったのだろう。勿論、仲が良かったらイジメのことを相談できるわけではないし、仲が良いからこそ言えないことがあるのも事実だと思う。それでもなんだ。
「後は二人の家族関係とか塾での人間関係とかになるんだろうけれど・・・・・・流石にそこまでは分からないしね」
「だな。とにかくイジメは無かった。それだけははっきりと言えることだと思うよ。だから、そんな顔するなよリム助。
湊が自殺するはずがない・・・・・・だろ?」
良太のその言葉に朝よりもずっと深く胸の奥が痛んだ。
「本田君もそうだし、そんなこと言ったらあずきちゃんだって・・・・・・」
イジメはなかった。二人に自殺する動機は見当たらない。だけれど、警察はすでに事件性なしとの判断を下している。もうすでにマスコミでも自殺として取り上げられているようだ。二人の死の真相は分からない。まだあの夢が現実になったのかの確証もないし、そのことでオレが殺したという確証もない。ただ手に残る感触が、二人の最期の顔が目に焼き付いて離れてはくれなかった。
このクラスは結構個性豊かな人間が多いがイジメのようなものは無かったとオレは思う。とは言え、オレはそこまで広くかかわる方ではないから些細なことを見逃していたかもしれないが。
ただ、このタイミングでのこの内容のアンケートということは理由は明白であって、要は学校側としては「自殺した湊や榎本さんがイジメられていた」という事実がないことを確認する為のものだと皆も分かっていただろう。
イジメなんか無かった。何よりあの二人は自殺なんかじゃない。それをオレだけが知っている。確かに知っているのに、それを証明する方法は無く、ただイジメはなかったのだと回答する他に無かったんだ。
昼休みになりオレは良太と真緒と屋上にいた。二人とも相変わらずの豪快な食べっぷり。オレはあまり食欲がわかず、購買で買ったアンパンを半分食べるのにも苦労をしていた。
「なあ、二人から見てイジメってあったと思うか?」 そうオレが聞くと二人は箸を止めて答えた。
「うんそもそもうちのクラスってかなり平和だしイジメなんてないと思うよ。しかも、今朝のって要は本田くんとあずきちゃんの事を聞いてるんだよね?
流石に私もクラスの隅々まで知ってるわけじゃないから、あんんまり関りのない子とかのことは分からないんだけど、あの二人に関しては絶対に無かったと思う」
「だよなあ。なんだったら隣のクラスの方がその辺殺伐としてると思う。オレも榎本さんとは仲良かったわけでもないから分からないけど、湊に限ってそれはないよ。
なんなら勝とかも派手にやってるけど、アイツはあれで芯が通ってるからイジメとか姑息なことはしないしな。まあ喧嘩で相手の骨折ってりゃ悪いに決まってるんだけど・・・・・・」
そうだよな。うん、そうだ。やあぱりこのクラスでのイジメはないのだと思うし、何より死んだ二人に関しては仲の良かったオレらや真緒が言うのだから本当に無かったのだろう。勿論、仲が良かったらイジメのことを相談できるわけではないし、仲が良いからこそ言えないことがあるのも事実だと思う。それでもなんだ。
「後は二人の家族関係とか塾での人間関係とかになるんだろうけれど・・・・・・流石にそこまでは分からないしね」
「だな。とにかくイジメは無かった。それだけははっきりと言えることだと思うよ。だから、そんな顔するなよリム助。
湊が自殺するはずがない・・・・・・だろ?」
良太のその言葉に朝よりもずっと深く胸の奥が痛んだ。
「本田君もそうだし、そんなこと言ったらあずきちゃんだって・・・・・・」
イジメはなかった。二人に自殺する動機は見当たらない。だけれど、警察はすでに事件性なしとの判断を下している。もうすでにマスコミでも自殺として取り上げられているようだ。二人の死の真相は分からない。まだあの夢が現実になったのかの確証もないし、そのことでオレが殺したという確証もない。ただ手に残る感触が、二人の最期の顔が目に焼き付いて離れてはくれなかった。