マサユメ~GoodNightBaby~
少年は夢を見る
あ、またあの夢だ。
「………………」
優しい歌声が響くように聞こえる。
透明に透き通っていて、優しくて、柔らかなその声。
暖かく包むようにオレの周りを反響している。
もうこの夢を何度見たことか分からない。
でも、これが繰り返される同じ夢の中だと気付いたのは本当に最近のことで、ちょっと困惑する。
「ねぇ、あなたは誰なの?」
オレの問いに応えはない。
まるでオレとは別空間にいるかのように彼女の歌声は続いている。
早く聞かなきゃ。
後少しで、オレの意識は途切れてしまうのだから。
ねぇ、あなたは誰なの?
あなたはオレの何なの?
ねぇ、応えてよ。
あなたは、あなたはもしかしてオレの……
「…………くそ」
今日も間に合わなかったか。
透明な歌声が止み、優しく頬を撫でられる感覚がして、最後に一言。
まるで魔法の言葉の様なそれを聞くと、この夢の中のオレの意識は途切れてしまう。
彼女は歌声よりも澄んだ優しい声で呟くように言うんだ。
ああ……
もっと聞いていたかった。
話をしたかった。
あなたは誰なの?
オレにこの夢を見せるのは何故なの?
「GoodNightBaby.(おやすみなさい、ぼうや)」