遊び人に恋をして
「えっと、私、授業戻りますね。」


「おい、未久。」


先生の声を無視して、倉科の横を通る。

胸が張り裂けそうに痛い。


こんなことになるなら、恋なんてしたくない。


こんなに苦しくなるなら、もう誰も好きになんてなりたくない。


溜まったものが、涙として溢れる。


この状態で教室に戻れば、奈々実にもまた迷惑をかけてしまうだろう。


だから私は屋上に向かった。


ギィー


錆び付いた音のするドアをあけ、空を見上げる。

< 30 / 42 >

この作品をシェア

pagetop