もう一度、恋をしよう。


授業中、私はずっと上の空だった。

勉強は出来る方じゃないけど、先生の話を聞くのは好き。


だけど今日は、先生の話が全然頭に入って来なくて…ずっと鉛筆を指でクルクルと回してた。


大好きな給食も残しちゃったし、さっきからため息ばっかり出る。


「…はぁ……」


何度目かも分からないため息をついた後、誰かに肩を叩かれた。

後ろを振り返ると、そこには居心地悪そうな稲葉くんが立っていて、思わず身構える。


「…何?稲葉くん……」


今の状況でこれ以上、稲葉くんと関わりたくないのに。


「…さっきは、悪かった」


「……え?」


稲葉くんの声は聞き逃してしまいそうなほど小さい。
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