もう一度、恋をしよう。
いつも以上に長く感じた学校の一日を終えて、私は自宅に帰らずにそのまま奏多くんの家の方向に向かって走り出す。
奏多くんに会ったら、何て言おう?
稲葉くんに初めて大声出したんだよ、とか。
あの意地悪な稲葉くんが私に謝ったんだよ、とか。
でも、一番言いたいことは…
奏多くんがいなくて寂しかったってこと。
奏多くんに会って話したいって思ったら、自然と足取りも軽い。
「はぁ…はぁ……ふぅ……」
奏多くんの家の目前で力尽き、立ち止まると一気に汗が噴き出してきた。
息が切れて呼吸が苦しくなると同時に、心臓の鼓動が早まる。
私は額の汗を手で拭いながら、大きく深呼吸をした。