もう一度、恋をしよう。


「今日学校に行けなかったのは、引越しの準備を進めてたからなんだ」


……もう、やめて。

怒った事なら謝るから…。


「美桜ちゃん、休んだ僕を心配して来てくれたんでしょ?…美桜ちゃんは優しいね」


奏多くんは昨日と同じ言葉を微笑みながら言ってくれた。


嬉しい……はずなのに、

涙が止まらなくなった。


「…引越すって言っても…この近くなんでしょ……?」


奏多くんに心配させたくなくて、涙が止まらないかわりに精一杯笑ってみせる。


「…ううん。県外に行く事になったから、美桜ちゃんとはもう…今までみたいに会えないと思う」


私が抱いていたわずかな期待は、奏多くんの一言によって呆気なく崩れ去った。
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