もう一度、恋をしよう。




「ありがとう、椎名さん。
それじゃあ、席に戻って。」




「………はい。」




「皆さん、お疲れ様!
この色紙は、先生が宮野くんに直接渡しておきますね。」




私から色紙を受け取った先生は、慣れた手つきで色紙の周りにリボンの飾り付けをする。




「………ばいばい、か……」




私は席に戻る途中に、誰にも聞こえないような独り言を漏らした。





「ばいばい」なんて…一番伝えたくない言葉なのに。





でも、「行かないで」って書いたら…



奏多くんはきっと困ると思うから。





色紙に書いた“ばいばい”の文字は、あまりにも小さくて。




それは…私の今の気持ちを表したようだった。
< 29 / 102 >

この作品をシェア

pagetop