もう一度、恋をしよう。
それから私達の間に会話はなくて黙って歩き続けた。
気まずい雰囲気が流れたまま奏多くんの家の前まで着いてしまい、私は無言でインターホンを鳴らした。
ーー……ピンポーン♪
「はーい……って、どうしたの!?二人ともっ!!」
奏多くんのお母さんの桃子おばさんは、玄関のドアを開けた途端、すぐに血相を変える。
「大丈夫だよ、お母さん。…転んだだけだから」
…何が、大丈夫よ。
さっきまで、あんなに泣いてたくせに。
心の中で思いながら唇を噛む。
「…そう?ならいいけど、先にお風呂に入って来なさい」
「…うん、わかった」
奏多くんは私を置いて、そそくさとお風呂場へと向かってしまった。
「…あら?美桜ちゃん、奏多とケンカでもしたの?」
奏多くんの態度を不思議に思ったのか、桃子おばさんは首を傾げながら聞いてくる。