もう一度、恋をしよう。
あっという間に時は過ぎて行き、ついに奏多くん家族が引越しする日を迎えた。
最後の挨拶をしに奏多くん一家が私のアパートまで来てくれたけど、私は外に出れずにいた。
「……美桜っ!
いつまで部屋に閉じこもってるの!!」
お母さんは勢い良く、私の部屋のドアを開ける。
「……奏多くんに会わないつもり?」
部屋の隅っこで丸くなっている私に向かって、お母さんはいつもより低い声のトーンで聞く。
「………うん。」
うそ…………会いたい。
だけど、会うのが怖い。
奏多くんに大嫌いと言ってしまったあの日から、もう二週間。
一方的に避けているのは私だけど…
奏多くんに会って、何を話したらいいか分からない。
「………本当に、会わなくていいのね?」
「……いいって言ってるじゃんっ!」
お母さんに八つ当たりなんて……私、最低だ。