もう一度、恋をしよう。
ドキドキ…、とうるさく脈打つ心臓。
どうして隠れてるの、私……。
色紙に書いたみたいに「ばいばい」って笑顔で言う事すら、私にはできない。
「……奏多、そろそろ出発するわよ。」
「………うん。」
バタンッと車のドアが閉まる音がして、外の様子を確認すると…後部座席に乗っている奏多くんとまた目が合った。
息が……苦しい。
「……それじゃあ、美月。
着いたら、また連絡するわね。」
「うん、分かった。
桃子……気をつけてね。」
会話を交わすお母さんと桃子おばさんの声が、少しだけ震えてた。
「本当に、色々とお世話になりました。」
運転席の窓を開けて、奏多くんのお父さんである総一郎(そういちろう)おじさんが、私のお母さんとお父さんに頭を下げる。