もう一度、恋をしよう。





気づかれたくない…


奏多くんの事で泣いてたなんて。



絶対、からかわれるに決まってる。





「………ちょっと来いっ!」




「……えっ!あの、ちょっと!稲葉くんっ!?」




返事を待たずに稲葉くんは私の腕を掴んで、家から無理矢理連れ出す。



…どこに行く気っ!?




「稲葉くん…待って!どこ行くのっ!?」




私は稲葉くんに向かって言ってみるけど、稲葉くんは答えずに歩くスピードを速める。




……もう!何なのよっ…。



強引な稲葉くんに呆れながらも、無駄な抵抗はせずに私は稲葉くんについて行く。



稲葉くんが急に方向転換したと思ったら、公園に入った所で急に足を止める。




「………あの、稲葉くん?」




私は稲葉くんの様子を伺いながら、呼びかけた。
< 38 / 102 >

この作品をシェア

pagetop