もう一度、恋をしよう。
気づかれたくない…
奏多くんの事で泣いてたなんて。
絶対、からかわれるに決まってる。
「………ちょっと来いっ!」
「……えっ!あの、ちょっと!稲葉くんっ!?」
返事を待たずに稲葉くんは私の腕を掴んで、家から無理矢理連れ出す。
…どこに行く気っ!?
「稲葉くん…待って!どこ行くのっ!?」
私は稲葉くんに向かって言ってみるけど、稲葉くんは答えずに歩くスピードを速める。
……もう!何なのよっ…。
強引な稲葉くんに呆れながらも、無駄な抵抗はせずに私は稲葉くんについて行く。
稲葉くんが急に方向転換したと思ったら、公園に入った所で急に足を止める。
「………あの、稲葉くん?」
私は稲葉くんの様子を伺いながら、呼びかけた。