もう一度、恋をしよう。
「……アイツが今日引越すって、先生から聞いた。」
「……そう、なんだ。
稲葉くん、奏多くんに会いに来たの?」
色紙には“バーカ”なんて書いてたけど…奏多くんを見送るなんて、稲葉くん良いところあるじゃん。
「…奏多くんには会えた?
……奏多くん、稲葉くんに何て………」
「………違う。」
私の言葉を途中で遮った稲葉くん。
「……美桜に、会いに来た。」
「………え、私に……?」
頷く稲葉くんの顔は真剣で、冗談を言ってるようには見えない。
「……どうして、会いに来たの…?」
「……美桜が泣いてると思ったから。」
稲葉くんの声が、優しく響く。