もう一度、恋をしよう。
不安と、寂しさと。
中学三年生の夏。
私はなるべく、奏多くんの事は思い出さないようにしてた。
奏多くんが見せた悲しそうな顔を…早く忘れたくて。
「…あつーい……」
私は制服の袖を捲り、手で顔を扇ぐ。
今日は終業式。
私は、中学校生活最後の夏休みを迎えようとしていた。
「美桜、朝からうるせーぞっ!」
一緒に登校するのが日課となっていた大和が、私の頭を軽く叩く。
「…いたっ!!
女の子に手あげるなんてサイテー!!」
「バカ、美桜を女だと思うワケねーだろっ!」
「はぁ!?」
私と大和は、顔を合わせればいつもケンカばかり。
小学校、中学校と同じ学校に通ってる大和とは腐れ縁。
「大和先輩!おはようございます♪」
学校に着く手前で、後輩の女の子が大和に話しかけて来る。
「おー!おはよ。」
大和が笑顔で挨拶すると、後輩の女の子は頭を下げて嬉しそうに去って行く。