もう一度、恋をしよう。
「…美桜ちゃん、何やってんの?」
「……うわっ!!」
背後から話しかけられた事に驚いて、私は座っていた椅子から転げ落ちてしまった。
「……いたたっ…」
「…ご、ごめんね、驚かすつもりじゃなかったんだけど…」
痛みに耐えながら差し伸べられた手を取ると、奏多くんが上半身裸な事に気づく。
「……ちょっ!何で裸なのっ…!!」
「だって、暑いんだもん」
慌てる私をよそに、奏多くんはさらっと答える。
奏多くんの上半身からは、湯気が立ち上っていた。
濡れた髪から落ちる水滴が、奏多くんの身体に垂れる。
……し、信じらんないっ!!
いくら幼なじみだからって、いきなり裸で現れたら反応に困るってばっ!!
私は目のやり場に困って目を逸らす。
「…それより、怪我してない?」
「……うん、大丈夫」
「……そっか、良かった」
顔を向けると、奏多くんは安心したように微笑む。
良かった……。
さっきまでの雰囲気は、もうないみたい。
「美桜ちゃん、夕食はカレーでいいかしら?」
私のお母さんと電話を終えたらしく、桃子おばさんはリビングへ戻って来た。