もう一度、恋をしよう。
「何してんの、急いで。」
「…あっ、あの!」
男の子は戻って来ると、私の手を掴んで走り出す。
風が男の子の髪をサラサラと揺らして、ふわっとシャンプーのいい香りがした。
自然と高まる鼓動を感じながら、私は男の子と一緒に学校までの道のりを駆け抜ける。
「ここが、北川高校だから。
…じゃ、俺はこれで。」
「…あ、行っちゃった……。」
走った甲斐もあって10分程で北川高校に到着したけど、男の子はすぐに校舎の人混みの中へと消えて行く。
「受験者は急いで会場に入って下さーい!」
…やばっ!早く行かなきゃ!!
校門前に立ってる先生の声が聞こえて、私は教室へと急ぐ。
ーー……ガラガラ
教室に入ると、そこに居る全員が黙々と勉強をしていて、私のドアを閉める音だけが静かに響いた。
「…隣の席だったんだ。」
先生に指定された席に着くと、さっき別れた男の子が隣に座っていた。
視線をノートから私に移し、ペンを一旦机の上に置いて頬杖をつきながら話しかけてくる。