もう一度、恋をしよう。
「美桜ちゃん、よっぽどお腹空いてたのね。まだカレー残ってるし、もうちょっと食べる?」
「ううん、大丈夫。もうお腹いっぱいだから。それにもう遅い時間だし、明日も学校あるから早く帰んなきゃ」
「…じゃあ、僕が送って行くよ」
帰り支度を終えると、鏡台に座っていた奏多くんが私より先に立ち上がった。
「…いいよ別にっ!私の家近いんだし」
「僕が美桜ちゃんを送りたいの。…お母さん、いいでしょ?」
桃子おばさんは頷いて、玄関まで見送ってくれる。
「美桜ちゃん、いつも奏多と仲良くしてくれてありがとう。またいつでも、遊びに来てね!」
「うん、また来る!カレー美味しかったよ、また作ってねっ!!」
大きく手を振ると、桃子おばさんも返すように手を振ってくれた。
路地に出ると、奏多くんはぴたっと足を止める。
「奏多くん、どうしたの?」
「…美桜ちゃん、さっきはごめんなさい」
いきなり深く頭を下げる奏多くんに、私は驚いて言葉が出ない。