もう一度、恋をしよう。
「…ごめん、職員室で先生達が話してるの聞いちゃって。」
「……そっか。」
「…美桜には言ったの?」
「……言ってない。」
進路相談以降、何度も担任と母さんを説得してやっと許しをもらった。
…いや、俺の熱意に二人が折れたという方がしっくりくる。
友達と離れて知らない土地での生活なんて考えられないけど、俺の思いを駆り立てたのはやっぱり美桜なのかも知れない。
美桜の父ちゃんから連絡があったあの日、気づけば俺は走り出していて。
…美桜に会いたい、ただそれだけだった。
「お前を一人にしない。」美桜にそう言ったけど、そんなのは建前で美桜と離れたくない…それが俺の本当の気持ちで。