アブラカタブラ!
(五)お昼寝
園内の時計を見ると、一時半を回っていた。
「よし、ボク。大っきい鳥を見に行こうか」
小さな俵型のおにぎりを頬ばっている息子は、大きく首を縦にふった。
父親のわたしに声をかけられていることが、よほどに嬉しいようだ。
思わずとんでもないことを聞いてしまった。
「ボク。ママ、怖いよな。パパとママ、どっちが好きだ?」
息子は小さな声で、うんと頷いた。
聞くべきことではなかった。
しまったと思ったが、飛び出た言葉を呑み込むことはできない。
答えなくて良いよと言いかけた途端に
「パパのほう」
と、また小さく答えてきた。
「悪かった、パパが悪かった。パパもママも両方好きだよな。どっちもだな」
息子の目が輝き、今度は大きく、「うん!」と答えた。
園内地図を広げながら、コンドルの場所を探した。
他の動物園ではあまり居ないはずで、あの大きさには息子も驚くだろうと思えた。
地図で場所を特定したものの、それらしき檻が見つからない。
あちこち連れ回す内に、次第に息子の歩みが遅くなってきた。
幾度となくあくびをしている。
「よし、ボク。大っきい鳥を見に行こうか」
小さな俵型のおにぎりを頬ばっている息子は、大きく首を縦にふった。
父親のわたしに声をかけられていることが、よほどに嬉しいようだ。
思わずとんでもないことを聞いてしまった。
「ボク。ママ、怖いよな。パパとママ、どっちが好きだ?」
息子は小さな声で、うんと頷いた。
聞くべきことではなかった。
しまったと思ったが、飛び出た言葉を呑み込むことはできない。
答えなくて良いよと言いかけた途端に
「パパのほう」
と、また小さく答えてきた。
「悪かった、パパが悪かった。パパもママも両方好きだよな。どっちもだな」
息子の目が輝き、今度は大きく、「うん!」と答えた。
園内地図を広げながら、コンドルの場所を探した。
他の動物園ではあまり居ないはずで、あの大きさには息子も驚くだろうと思えた。
地図で場所を特定したものの、それらしき檻が見つからない。
あちこち連れ回す内に、次第に息子の歩みが遅くなってきた。
幾度となくあくびをしている。