幼なじみの溺愛が危険すぎる。
しばらくみぞおちを押さえていた玲音は
すぐに復活して、ほどけたネクタイを指差した。


「あっ、ネクタイ結び直さなきゃ!」


校則や風紀に特別厳しい学校じゃないけど

ネクタイの代わりに首からヒモ2本ぶら下げてたら絶対に怒られる。

自分でネクタイ結べないなら、ネクタイのない学校にすれば良かったのに…


「りりちゃん、ありがと♡」


ネクタイを結び直すと、

嬉しそうにニコニコと笑っている玲音に小さくため息をついた。


「いいよ、いつものことだから。
それより早く教室にいこっ」


なんだかんだで時間ギリギリになってしまって急ぎ足で昇降口に向かった。


下駄箱で上履きに履き替えていると、どこからから低い声が聞こえてきた。


「ムカつくんだよっ」


???


キョロキョロ辺りを見回したものの、
朝の下駄箱は人で溢れていて誰が誰だかわからない。


「りりちゃん、どうしたの?」


「ううん、なんでもない」


玲音にそう答えると、パタパタと駆け足で教室に向かった。


……気のせいかな?
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