幼なじみの溺愛が危険すぎる。
しばらくすると、鬼ごっこをしている男の子たちが砂場に乱入して、バケツに入った砂をザバーっとひっくり返した。


バケツの砂が目に入って動けなくなった伊吹くんは、片手で目を押さえて立ちすくんでいる。


「大丈夫?」


伊吹くんに近づいて、砂の入った右目を覗き込む。


涙で砂が流れると、伊吹くんは真っ赤な目をして私を見上げてきた。


小さく口を開いた伊吹くんに耳を寄せる。


「ありがと…」


聞き取れないほどの小さな声でそう呟いた伊吹くんを思わずぎゅっと抱き締めた。


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