幼なじみの溺愛が危険すぎる。
夕飯の片付けを終えてテーブルの上で宿題をしていると、お母さんからメールがあった。



「どうしたの?」


「お母さん、今日は会社に泊まるって」


「相変わらず忙しいね。おじさんは出張?」


「うん、中東に行ってる。来週帰ってくるよ」


お母さんは朝早く出かけていき、真夜中過ぎに帰ってくる。

終電を逃すと会社に泊まることもしばしば。


かたや、物理学者のお父さんは、一年中共同研究やら論文発表やらで世界中を飛び回っている。


お父さんもお母さんもすごく多忙だけれど

小さい頃から玲音とずっと一緒に過ごしてきたせいか、

あまり淋しいと感じたことはなかった。



「あ、そうだ。数学でわからないところがあったんだ。玲音、教えてくれる?」


「いいよ、教科書持ってる?」



玲音と肩を並べて教科書を覗き込む。
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