キミの心に届くまで
Season*1
芽生え始めた感情
それは夏休み最後の日のことだった。
高校に入ってすぐに出来た友達の真山 すず(まやま すず)に誘われて、猛暑の中自転車で待ち合わせ場所のカフェへとやって来た。
「陽良(ひよ)ー、こっちこっち!」
すでに来ていたすずが、あたしの姿を見つけてにっこり笑いながら手招きする。
汗がダラダラ出続けて止まらないっていうのに、なんですずはそんなに涼しげなんだろう。
「ごめんね、お待たせ」
「ううん、あたしも今来たところだから」
そうは言うものの、すずの顔には一筋の汗も浮かんでいない。