キミの心に届くまで
「そしたらおねーちゃん、寂しくなくなるでしょ?」
何も言い返せなかった。
翼の純粋で綺麗な気持ちに、ただただ溢れる涙を堪えるのに必死で。
翼の前で泣いちゃいけないと思いながら、必死に歯を食いしばった。
寂しい……。
そうなのかな……?
今まで……寂しかったのかな、あたし。
「大丈夫だよ……寂しく、ないから」
違うよ、違うんだよ。
翼の前で寂しいなんて言っちゃいけない。
だって……あたしは恵まれてる。
必死に病気と闘って、ツラい思いをしてる翼の前でそんなことを言っちゃいけない。
怖いのは翼の方なんだよ?
寂しいのは翼の方なんだよ?
「僕だったら寂しいよ。お家にパパとママが居ないのは」
「大丈夫……だから」