キミの心に届くまで


それからどれくらい泣いたのかはわからない。


気付くとお昼前になっていて、ご飯が来たことを知らせるアナウンスにハッとした。



「……おねーちゃん?」



眠そうに目をこすりながら目覚めた翼。


あたしはサッと涙を拭って微笑んでみせた。



「ご飯取って来てあげるね」



そうでもして部屋を出ないと、鋭い翼に泣いたことがバレそうで。


情けないあたしの姿を見せたくなかった。



部屋を出たところで呼吸を整える。


先に目を洗って来た方がいいかもしれない。



「陽良……?」



トイレに行こうとしたところで、後ろから声をかけられた。


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