キミの心に届くまで
ビックリして振り返ると、そこにはスーツを着たお母さんの姿があった。
「何してるの?こんなところで」
眉を吊り上げてなぜか怒っている様子のお母さんは、キツい口調でそう言うとあたしの目の前までやって来た。
どうしよう。
泣いたって、バレないかな……?
「はぁ」
なんとなく視線を下げたところで、耳に届いた大きなため息。
「学校はどうしたの?まさか、サボったんじゃないわよね?」
「……っ」
図星を指されて声が詰まる。
しまいには「はぁ」とまた大きなため息を吐かれ、胸の奥がズキッと痛んだ。
「マジメに学校に通ってるもんだと思ってたのに、これ以上お母さんに重荷を背負わせないでちょうだい。お父さんもお母さんも、翼のことでいっぱいなのよ」
ーーズキン