キミの心に届くまで


わかっているつもりだった。


お父さんもお母さんも、翼のことで頭がいっぱい。


心配の種も、気掛かりなのも、健康なあたしなんかより全部翼だってこと。



「ねぇ、聞いてるの?最近、授業もサボったりしてるんですって?学校の先生から電話があってビックリしたわよ」



目にジワジワと浮かび上がる涙を必死に堪える。



お母さんが好きなのは、今のあたしじゃなくて良い子のあたし。


心配事や迷惑を一切かけない、居ても居なくてもいいようなあたしなんだ。


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