キミの心に届くまで


カラオケに着いて男が受付に並んでいる中、あたしはボーッと外の景色を眺めていた。



金曜の夜だからなのか店内は混んでいて、順番はまだ回って来そうにない。



不機嫌そうに舌打ちする男達を尻目に、流れ行く人の姿を目で追う。



スーツ姿のサラリーマンや制服を着たギャルや不良が、たくさん通り過ぎて行く。



みんな、なんでそんなに楽しそうなの……?


幸せそうなの?



何がそんなに楽しいの……?


生きてたって、いいことなんてひとつもないのに。


苦しいだけなのに。


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