キミの心に届くまで
居場所を失ってしまった時、人はどうなるんだろう。
「くそっ、まだかかりそうだな。西の方の店にするか?」
「いや、そっちも今日はいっぱいだろ」
「いっそのこと、外ってのは?」
「それいいな、移動するか」
ボソボソと3人が繰り広げる会話を聞きながら、景色を眺め続けていた時だった。
見覚えのある茶髪男子、片桐の姿を発見したのは。
片桐は何人かの集団でダルそうに歩きながら、お店の前を通り過ぎて行った。
なんだ。
そっか。
学校では近寄るなオーラを出していたから知らなかった。
片桐に友達がいたなんて。