キミの心に届くまで


最悪だ、よりによって片桐にぶつかるなんて。


本当、何やってんだろ。



「郁都、大丈夫〜?」



一緒にいたギャルがあたしのことをギロリと睨み付けながら、甘い声で片桐の腕に絡み付く。



甘ったるい香水の匂いが鼻先をかすめて、胸に不快感を覚えた。



「何してんだよ……?」



そのまま立ち上がって男達のところへ行こうとした時、不意に聞こえた不機嫌な声に足を止める。



まさか、片桐に話しかけられるなんて思ってもなかったから。



「おい、何やってんだよこのクソ女っ!」



金髪男はうっとおしそうにイライラしながら戻って来て、再びあたしの腕を荒々しく掴んだ。


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